− パテントマップ(グラフ)作成・活用の大原則 −
新たにパテントマップを始めたお客様は、「何か見えるかもしれない」という思いでマップソフトを活用するケースがほとんどです。
しかし、これでは何も得られません。私も10年前は同じ状況でした。
その後、何年も試行錯誤した結果、マップよりも先に、”考えること”が重要だと気づきました。当たり前なのですが・・・。
つまり、「最初に何か”考え”があって、その”考え”が どうなのか?を確かめるためにマップを作成する」
いわゆる仮説検証ということです。
例えば、
 〇〇と△△の関係を知りたい。
 その結果がわかれば、次に、こういうことが判断できる。
というような分析のストーリーを立てるということです。
できれば短い文章で、考えをまとめておくのがベストです。
スマートワークスの酒井さんが、調査のために「50文字要約」を作るということを提唱していますが、
マップや分析でも同じです。これだけで、作成するパテントマップの有用性が劇的に変化します。
今回は、グラフを書く上での基本的な考え方(10法則)を紹介致します。
ここで紹介する内容については、Webセミナー(2月末開講予定)で詳しく説明致しますので、
興味のある方は、「お問い合わせ」までメールをお願い致します。案内をお送りします。


【パテントマップの種類】

何でもかんでも、パテントマップとよんでいますが、実は、マップにはいくつも種類があります。

弊社、イノベーション推進チームでは、パテントマップの種類を3種類に分けています。

それぞれの定義はスライドを参照ください。ここでは、グラフについて紹介致します。


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【グラフで分析する視点】

グラフでは、出願件数をベースとして、推移や傾向といった、対象の増減か、要素間の関係性を視覚化します。

例えば、推移や傾向においても、目的に応じて、”メジャー動向を見出すべきか?”、”ニッチな動向を見出すべきか?”着眼するところが異なります。


なお、要素の関係性において、「交点の数は、両方の言葉・分類が、同時に使用された」ことにすぎないことを理解しておくことが重要になります。

つまり、交点に記された総数は、関係性が大きいか小さいかであり、必ずしも因果関係があるとは限りません。ビジネスとして使うためには、何らかの因果関係が必要です。

そのため、最終的には、公報を読んで解釈するようにして下さい。


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【グラフ作成の基本プロセス】

はじめに分析対象領域の構造図を作成して、切り口を設定の上、グラフを作成します。

次に、最初にお伝えさせていただいた、マップ作成の意図、考えを基にした、仮説の設定を行ないます。

これを分析の切り口とし、必要に応じて分類による仕分けや、分析を行ない、先ほど設定した仮説の検証を行なうことを繰り返します。

このように仮説を検証することで、活かしたい結果に直結するマップの作成が可能です。

この基本プロセスをもとに、グラフ作成でどのようなことに注意し作成すべきかをまとめた「グラフ作成基本10法則」を次ページより紹介致します。


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【グラフ作成基本10法則】

グラフを用いて分析を行うには、この10法則を理解し、分析することがとても重要です。

「事前設定」・・・・分析の前段階で必要な準備について説明します。

「分類・比較」・・・仮説検証でも重要な分析の重要なポイントを説明します。

「キーワード」・・・効果的に使えるようになると、作成したマップに大きく差が出るキーワードの説明をします。

「重要性判断」・・・考慮すべき重要項目の説明をします。


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【法則1 グラフ作成の目的を明確にする】

グラフの作成目的を明確にしてから、グラフ作成に着手して下さい。

画像に代表的な目的を記載しましたのでご参照ください。


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【法則2 分析のストーリーを立てる】

目的を立てたら、どのような順序で分析を行うことができるのか。

また、グラフでは何と何の関係を比較すれば判断ができるのか。

このような分析のストーリーを明確にする必要があります。

画像は、自社技術をベースにした用途探索の事例です。


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【法則3 分析目的にあわせた正しい母集合】

グラフを作成する場合、母集合を大きくとりがちですが、母集合が違うと正しい結果は得られません。

(これをノイズマップと呼んでいます)

「そんなこと当たり前だ」と思われるかもしれませんが、非常に多くのお客様で発生しています。

まず、母集合をしっかり吟味するようにしてください。

「分析目的にあわせて」母集合を作成することがポイントです。

例えば、1件の公報の見落としに照準を合わせるよりも、目的に沿った母集合でマップを作成した方が、

短時間でぐっと内容の濃い情報が得られます。


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【法則4 適切な体系で比較する】

この画像は、一般的なマップソフトで作成したFタームの時系列動向グラフです。

マップソフトで、デフォルトで作成すると、左の図のように、公報件数の多い順に作成されます。

件数順にマップを作成すると、体系的に表示されていないので、分析には不向きです。

例えば、縦軸は、2B314 MA33、2B314 MA38など、観点がバラバラになり、解釈が困難です。

そこで、右のグラフのように「栽培室の環境管理MA37〜MA42に限定して、Fタームの順番に」グラフを作成します。

こうすることで、「栽培室の環境管理」における全体動向を解釈できます。

分類としての並びが整っていると、件数での表示より、ぐっと比較がしやすくなることがわかります。


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【法則5 独自で分類する】

特許には、特許分類が付与されています。そのため、特許分類でグラフを作成するのは簡単です。

しかし、一般的には、特許分類だけでは、自分たちが必要な動向は得られません。

そこで、自社に必要な項目を設定してグラフを作成することが必要になります。

自社に必要な項目は、手間がかかると思われる方が多いかと思いますが、

比較に必要な項目を設定できるので、自由度が高く、より早く目的の動向を確認できます。(ここには、ぱっとマイニングの”近傍検索”機能が有効ですので、順次、紹介していきます)

左のグラフは課題に着目、右のグラフは植物の成分に着目して作成しています。

例えば、右のグラフからは、最近出願されてきた成分から、新たな動向のヒントが得られます。


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【法則6 同じ概念レベルで比較する】

概念レベルというのは、物事が抽象的か、具体的かを表したものです。

抽象的なものが上位概念、具体的なものが下位概念と思っていただけるとわかりやすいです。

例えば、果物とリンゴの例で言えば、果物は上位概念、リンゴは下位概念です。

グラフを作成する時には、同じ概念レベルで作成するようにしてください。

つまり、概念レベルが異なる果物とリンゴを比較することではなく、リンゴとみかんを比較するという考え方をするようにして下さい。

この画像では、水耕栽培の課題のグラフを例示しています。

左のグラフは上位概念の課題、右のグラフは、下位概念(つまり具体的な項目の課題)で比較したものです。

Fタームのマップでも、件数順に並べると、上位概念の異なるものが混在していることがあります。

このようなことに注意し、比較することが重要です。


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【法則7 変化率で比較する】

左のグラフは、マップソフトでデフォルトとして作成されるもので、総件数の多いもの順に並びます。そのため、直近の変化の傾向が読み取れません。

そこで、右のグラフのように直近の変化率が多いもの順に作成します。(ぱっとマイニングJP「時系列/直近年度成長率分析」を活用)

このグラフから、直近の新たな変化や、継続的に出願トレンドとなっている技術を読み取ることができます。


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【法則8 構造化されたキーワードを用いる】

構造化されたキーワードというのは、分析する意味のあるレベルのキーワードです。

例えば、耐久性で分析するのではなく、〇〇〇の耐久性といった、意味合いのあるキーワードで分析しなければ、正しい変化をとらえることができません。

何の耐久性かわからなければ、結果につながる意味のあるマップの作成ができないからです。


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【法則9 適切な箇所から抽出する】

分析目的に応じて、キーワードの抽出箇所を適切な分析項目を選定します。

例えば、課題の傾向を捉えるには、明細の【課題】関連の箇所のみでグラフを作成します。


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【法則10 ステータスを考慮する】

出願人の注力状況を判断するためには、権利化状態のようなステータスを検討項目に用いることも効果的です。

右のグラフのように権利化状況を含めて3軸で視覚化します。

また、その他考慮すべき項目も画像に載せています。


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